EARLY COUNTRY BLUEGRASS CONCERT

2009年12月6日(日) アルテック
EARLY COUNTRY BLUEGRASS CONCERT
主催:国際的な音楽交流を中心に高知を楽しくするプロジェクト/(財)高知市文化振興事業団

Mark Newton 高知で!

マーク・ニュートンが1990年以来、19年ぶりに来日しました。前回は、その頃に彼が所属していた「ヴァージニア・スクワイアーズ」の一員として日本全国をツアーし素晴らしい演奏を見せてくれました。

その数年前から、色々な事情でブルーグラスのバンドを日本に招聘する会社も少なくなり、米国のバリバリのバンドを日本で観ることができない、と言う状況になっていました。さて、そんな折、徳島の一人の学生が、当時一番脂の乗っていた「ヴァージニア・スクワイアーズ」の日本ツアーを企画したのです。全国のサークルを中心にツアーが企画され、私は浜松のブルーグラス、音楽関係の方々の協力で、浜松で彼らのコンサートを大盛況のうちに開催することができました。このツアーの成功でその後の90年代、ローリールイスやデルマッカリーの全国ツアーが実現したと私は確信しています。このツアーの仕掛け人が、なんとまた今回のマークのツアーを仕掛けたのです。

そして、あれから20年が経とうとしている今、何の縁か、私は当時の徳島の学生だったDr.と一緒に高知でバンドをしているのです。そして、今回のマークの高知での演奏をお手伝いができたので、レポートしてみたいと思います。
マーク・ニュートンは、上にも書いたように私たちのお気に入りのミュージシャンであり、スクワイアーズ時代から彼の曲を聴いたり、バンドのレパートリーに取り上げている曲もありましたが、今回は彼が一人でやってくるということで、高知ではウチのバンドがコンサートの全編にわたって彼をサポートしなければならないのです。事前に彼からピックアップされた曲のリストが送られてきましたが、その練習課題曲には、マークのニューアルバム、ナッシュビルでの最新のスタイルでの録音『Hillbilly Hemingway』の曲もしっかり入っていました。マークとのリハーサルは前日だけしか時間がとれません。ということで、3ヶ月にわたり彼のパート(ギターとメイン・ボーカル)抜きのベース、フィドル、マンドリンでのカラオケ練習、そうそうハーモニーの練習も、を重ね準備をしていきました。

そして、12月5日(土)、とうとう彼は高知にやってきてくれました。素晴らしい笑顔と共に。リハーサルは小さなイタリアレストラン。宴会用の料理は既にテーブルに並んでいましたが、いざ練習を始めると、彼の目は真剣!いきなり、『Midnight Fire』という曲をバンジョーのキックオフ。テンポが速かった!?「ゆっくりの方がドライブするんだよ。」と彼。そして、僕と二人だけで出だしだけの練習を繰り返す。ついつい速くなってしまうのだが、なるほど、身体で本場のリズムを体感する。一流のミュージシャンと一対一で彼の呼吸に合わせるようにリズムを作っていくなんて、本当に至福の一時。古い曲やスタンダードの曲はあっさりとさらう程度で良いのだけれど、難関は彼の最新CDからの4曲。それでも、カラオケ練習ではなかなかつかめなかった難関の曲が彼がリズムを刻むだけで、なんとなく展望が開けてくるような。バンドのリズムが怪しくなれば、足を踏みならしてキープしてくれる。おいしいところでギターの低音を短音で鳴らして、フレーズを入れてこっちの気持ちを良くしてくれる。さすが、一流のバンド・マスターは演奏中もよくメンバーの音を聴いてくれています。そうそう、こちらが用意した彼の古いレパートリーの中には、彼が忘れてしまっていた曲も。彼の作曲したインストルメンタルの曲では、彼の方が入れるべきフレーズを「良いタイミングで入れられない」と悩む一幕も。
そんなこんなで、あっという間の3時間。これは、何ものにも代えることができない貴重な時間でした。

やっと20曲ほどマークのOKがでました。コンサート用の曲数は十分ということで、練習終了。それからは「バンド」としての一体感も手伝って、和気藹々と苦手だと言っていた刺身を食し、共に鍋をつつき、ビールを飲み、夜は更けていったのでした。

そして翌6日(日)のコンサート。「アーリー・カントリー、ブルーグラスコンサート」として、たくさんの人に来ていただきました。会場のアルテックは、前売りのチケット販売を中止したほどの満員という盛況になりました。マークはと言うと、さすがにボーカルで聴かせてくれました。ブルーグラスに縁がない人、はじめてこのような音楽に接したという人たちが多かったのですが、最後まで聴衆をグイグイと引っ張ってくれました。私たちも前日の練習が効いたのか、「ゆっくりでドライブする」演奏もできたのではないかと自負しています。マークとのコーラスも楽しかった。そうそう、我々のバンド名の元になった彼の曲「Longing For The Southland」も演奏しました。さて、これがウチのバンドのレパートリーに残るかどうかは、今後のお楽しみです。演奏が終わって、バンドの方はグッタリ。「やりきった!」という感じです。及第点が付いたかどうかは???ですが、マークの満面の笑顔とハグと「来年もやろうね」という言葉をいただいて、なんとかなったかな!?

またまた、「演奏してる連中が一番楽しそうやった。」という言葉が聞こえてきそうですが、我々が愛する「ブルーグラス」という音楽の魅力の一端でも皆さんに音届けする事ができたとしたら、これに勝る事はありません。協力していただいた皆さん、お集まりいただいた皆さんありがとうございました。

さて、ここで高知でのOFFのマークをご紹介。日曜の昼ということもあって、日曜市も散策。しかし、16歳の娘さんへのお土産にTシャツがほしい。英語で日本のことを書いているTシャツを。ということで『ひろめ市場』で『I Love Yosakoi』と描かれたTシャツを購入。こんなん喜ぶんですね。
演奏翌日の朝、高知から京都へ移動する京阪バスに一人で乗り込んでもドライバーさんと写真を一緒に。本当こどもの遠足のように楽しいマークでした。

( 梶野耕司 )