JAZZCHOR FREIBURG JAPAN TOUR 2007

2007年8月31日(金) 高知市文化プラザかるぽーと
JAZZCHOR FREIBURG JAPAN TOUR 2007
主催:こうち・ジャズコア実行委員会

1.ジャズコァ来たー!

平成19年8月28日、20時25分 高知龍馬空港。またまたドイツからはるばるとおもしろくもステキな連中がやってきた。5年ぶりの”Jazzchor Freiburg”である。今回はゲストとしてノルウェーの歌姫”Torun Eriksen”、そしてドイツフライブルクを基盤に注目されているボイパ3人組”Acoustic Instinct”。総勢33名がやってきた。
余談であるが、関空からの小さな飛行機による便なので、飛行機の座席の約半分はヨーロッパからのメンバーだったことになる。さぞや賑やかな機内だったのでは・・・などと想像してしまう。
とにかく来たのだ!来てくれたのだ!。半年以上前から高知市文化振興事業団とともにじわじわと準備してきた”輝ける一週間(私たちにとって)”が幕を開けるのである。

2.ジャズコァとは

Jazzchor Freiburgとは、ドイツはフライブルクを基盤に世界各地で活動している市民ジャズコーラスである。市民ジャズコーラスと、”市民”がついてしまうとどうも自己満足的楽しみのための集まりであり、本来の音楽性にはこだわらない印象をもってしまいがちであるが、このグループはBertrand Groeger氏というカリスマにより、ファンクからスタンダードまで楽しみながらもかなりのレベルに達しており、世界各地のジャズコーラスコンクールで優勝している。”楽しみながらもすごい!”連中なのである。
また、Bertrand氏の熱い思いに負けたミュージシャンがいつも一緒に行動している。コーラスだけでなく様々なミュージシャンとの共演もこのグループの魅力なのだ。
今回のその魅力が先に述べたTorun EriksenとAcoustic Instinctなのである。

3.真剣に練習・・・の前に。

28日の夜に高知入りしたグループはまずホテルでお弁当を食べた。噂では5年前のツアーでこの場所で食べたお弁当が今回の高知入りのきっかけになっているとか。実行委員会としてぜひとも同じ場所、同じお店から取り寄せたお弁当でもてなしたいと頑張ってみた。
・・・また喜んでくれた。これは嬉しい限りである。彼らは喜びなどの気持ちをストレートに出すので分かりやすい。
分かりやすいから困ることもある。フライブルクを出発してトータル30時間(韓国経由なので長い!)の移動、そして時差との闘い・・・のはずなのにお弁当を食べてすぐに『街に行きたい!』と言う。疲れよりもせっかくはるばるやって来た土地を知りたいのだとか。気持ちはうれしいが、明日からのハードスケジュールのことを考えたら、今日くらいは休んでおけばいいのに・・・と思うのはヤボか!

4.真剣に練習

彼らが市民ジャズコーラスでありながら、世界各地から評価されるには理由がある。みんなが根っからの音楽好きであるのは言うまでもないが、それなりに相当量の練習をしているのである。公演予定のない時期でも、週に1回は放課後の学校に集まって練習をしている。練習時は真剣そのものである。
グループのハーモニーの全てをBertrand氏が的確にコントロールする。絶対に怒らないが、それ以上の説得力を持った指示と誘導である。横で素人の私が聞いていて全く気付かないハーモニーの乱れを的確に指摘して修正していく。対応できるメンバーも相当なものである。
高知入り2日目の午前中はかるぽーと小ホールでの練習に費やされた。高知でも真剣に楽しんでいるのが伝わってきた。

5.Bertrand氏はワークショップ。その頃メンバーは・・・

午後からは自由時間である。本当は練習に取っていた時間であるが、グループの判断によりリラックスタイムとなった。
グループ1は”高知SGG善意通訳クラブ”の誘導で高知城と高知のおまちへ。グループ2は実行委員会により列車に乗って海へ。と、それぞれ向かった。夕方からワークショップのある(おそらくそれ以上にジャパンツアーの重責を感じているかもしれない)Bertrand氏は1人ホテルにこもっていた。
お城組はSGGの皆さんの心のこもった案内で多くの”高知!”に出会えて喜んでいた。また、海組は突然の夕立にあったものの、念願の海水浴(フライブルクは海から遠い~)ができて超満足気であった。とにかく高知を喜んでもらえたのが実行委員会として嬉しいし、人と人の交流が生まれているのがまた嬉しい。
夕方からはワークショップである。”アメザリワを歌おうワークショップ”と命名されたこのワークショップでは、先に公募したワークショップ参加者がタンザニアのアメザリワという曲を何度も練習しており、講師であるBertrand氏曰く”この曲の練習はもう必要ない”くらいであった。肩すかしか!と思われた次の瞬間『皆さんに必要なのはリズム感の共有です』として、みんなでリズムの練習にうつった。横で見ていてBertrand氏の飄々とした指導を通して参加者のリズムが一体化していくのが目に見えた。正直”この人はすごい!”と思った。

6.ウェルカムパーティー!

公演前日の夜20時。それぞれに高知を楽しんでくれたメンバーと一緒にウェルカムパーティーに向かった。
今回のジャパンツアーは高知市公演を皮切りに須崎市公演、室戸市公演、そして松山市公演の全4箇所をまわる。その公演地すべてが市民の実行委員会により運営されているのである。そしてこのウェルカムパーティーには各実行委員会からも参加してもらい、『日本にウェルカム!』のメッセージを伝えたかったのである。
粛々とすすむパーティー・・・ではなく、歌が始まり、歌でお返しし、飲んで食べて楽しい交流があちらこちらで始まった。ドイツ語のできる人はドイツ語で、英語の分かる人は英語で、でも大半は身振り手振りと目、そして単語の羅列で立派な交流をしていた。そうである!酒は世界共通語なのである。
目的である『日本にウェルカム!』が伝わるどころか、あっという間の時間の中で『公演が大成功に終わった!』かのような盛り上がりであった。公演前にお互いをパートナーとして認識できた夜だったと思う。公演は明日から本番なのに、『やり遂げた!しゅうりょう!』という満足感に支配されてしまった・・・。

7.じわじわ緊張です。

昨夜の盛り上がりもなんのその。二日酔いもなく、メンバー全員かるぽーと地下のリハーサル室で最終チェックである。
実行委員会も仕事に区切りを付けたメンバーから集まって、それぞれの持ち場の準備に走り回っている。口数はこれまでに比べると明かに少なくなっているが、みんなどことなくわくわくして楽しんでいるようである。
18時30分の開場予定であるが、17時にはすでにお客さんの列ができはじめている。
その頃ステージ上では最終の音合わせに全神経を注ぎ込んでいる。直前になってコントラバスのアンプやドラムスのスタンドなどに不具合が見つかり、実行委員は右往左往であるがそれもまたなぜか楽しいのである。

8.さぁ!本番だ!

幕が開いた。というか最初から幕は下りてないが、とにかくカーテンライズである!。
一曲目のDesafinadのイントロに合わせてグループが舞台へ。満員のかるぽーと大ホールからはすごい拍手。Bertrand氏の入場時にはこれまたすごい拍手であった。5年前のことを覚えてくれている人がけっこういるのかも・・・。
舞台袖から見ていてさっきまで普段着だったメンバーが急にシックな出で立ちで、しかもかっこよく楽しげに歌っている。2曲目から手拍子が始まり、Torunが登場した頃からは客席に火が付いたように盛り上がりも最高潮となった。
いくつかの小さな不具合もあったが公演は大成功である。さすがである。このひとことである。
2007.8.31高知公演演奏曲

01 / Desafinado
02 / Splanky
03 / Oh, Lady Be Good
04 / Loop Suite II
05 / The Garden
06 / Happy Birthday
07 / Shiny Stockings
08 / Open Invitation
09 / Ain’t But The One
休憩
10 / I’ve got the World on a String
11 / Joy
12 / In Person
13 / From Day to Day
14 / Evening Rise
15 / Amezaliwa
16 / Acoustic Instinct SOLO
17 / One Note Samba
18 / C Jam Blues

enc1 / Folegandros
enc2 / Route 66
enc3 / Goodnight

(こうち・ジャズコァ実行委員会 土居)